生産性向上に感情のコントロールは不可欠
最近ではリーダーシップ研修、管理職研修にアンガーマネジメントを組み合わせる企業が多くみられます。
その動機としては
「困難な場面、ストレスフルな場面でも感情をコントロールして冷静に対応して欲しい」
「部下、新入社員のマネジメントにおいて、感情のコントロールが必要だ」
「組織のパフォーマンスを最大化するためにはリーダーが感情的に成熟していることは不可欠である」といったことがあげられます。
実際、アンガーマネジメントが始まったアメリカでも、感情のコントロールができない人は大人として未成熟と評価され、昇進を妨げる大きな要因になっているという研究もあります。
また、パワハラ防止のために導入する企業が増えてきています。
一般的にパワハラ防止研修は、法律的なパワハラの定義や、どう防げばよいのかといった知識の講習が中心となります。
ところが、頭では理解しているつもりでも、感情がついていかずにパワハラが起きてしまっているというケースが非常に多く見られます。
そこでアンガーマネジメントをパワハラ防止対策に付け加えることで、法律、感情の両方から予防、防止していくことに役立てます。
「これが、法律です。」
と言われたからといって、明日から治せるものでもないですよね。
どうしたら上手く怒れるときに怒れて、怒らないときに怒らずにいられるのか、コツも知ることが大切になってきます。
私たちが本当に怒る理由
私たちが怒る理由、それは自分が信じる「べき」が目の前で裏切られた時です。
「べき」とは「するべき」「するべきではない」の「べき」です。
例えば、
○「朝は挨拶をするべき」と思っているのに相手が挨拶をしない時
○「電車は降りる人を優先するべき」と思っているのにどんどん人が乗り込んできた時
○「報告は部下からするべき」と思っているのに報告がない時
○「家事は夫婦で分担するべき」と思っているのにどちらかに偏っている時
など、私たちはたくさんの「~べき」を家庭、会社で持っています。
この、「べき」とは、理想、願望、欲求といったものです。現実が自分の思う通りになっていない時、私達は怒るのです。
アンガーマネジメントでは、この「べき」のことをコアビリーフと呼んでいます。自分の価値観の核になっているようなものです。
これを知るために、良い方法があります。
○アンガーログをつける
○自分の言動から見つける
この二つです。
アンガーログは、自分のイライラした時、怒った時を記録します。
言動は、
「○するべき」と、自分から発する言葉がある時に思い返して見てください。
そもそも生まれた時にそんな「べき」があったでしょうか?
生きていくうちに誰かに言われたり、考えて作られてきたものです。
本来は何も存在しないし、正解はないし、全員、全てが一致することなんてないのです。
同じ環境で育っている兄弟でも、同じ学校を卒業している仲間でも、同じ会社を選んで入っている同僚でも、全てが一致していたら、ちょっと怖いですよね。。
なので、○べき!で怒っていたらいつまでも怒ることになるし
習慣として身につけていくことができれば
どこにいっても、何をしても、だれといてもご機嫌な人になれますよね
タイムアウト
スポーツの試合中にとるタイムアウトと同じ意味合いのテクニックです。議論や話し合いが白熱して収集がつかなくなった時に、相手に了承を得てその場から離れるというテクニックです。
スポーツの試合におけるタイムアウトは、流れを変える、冷静になる、気持ちを整え直す、などの意味がありますが、アンガーマネジメントで使うタイムアウトもこれと同じです。
誰かと言い争いになったときにどんどんヒートアップしてしまい、議論ではなくただ相手を屈服させようとしてしまった時や、本題から外れて別のことで言い合ってしてしまった経験が誰しもあるでしょう。
そんな時、そのまま議論を続けたとしても、建設的な話し合いになることはとても難しいです。お互いに嫌な気持ちになるだけで、議論がまとまるということはありません。
言い合いになった時、黙ってその場を立ち去ったり、捨て台詞を吐いてその場を立ち去ってしまう人がいますが、これも望ましい態度ではないです^^;
タイムアウトにも、手順があります。
①お互いにタイムアウトをとれるルールを確認しておく。
②議論などがヒートして収拾がつかなくなった場合、タイムアウトをとることを相手に伝える。
「ちょっと申し訳ないけど、お互い暑くなってしまって、今議論するのが難しいから5分休憩させて。5分後にまた今の続きをしよう。それでいい?」
③タイムアウト中はなるべく気持ちを落ち着かせるようなことをし、議論の内容などはあまり思い出さないようにする
④時間になったら席に戻って議論の続きをする
この間アンガーマネジメントの研修していたら、ヒートアップしたら、トイレにいってくる、という人がいました。自然と冷まそうとしている方もいるんですね。
そこまで白熱していたら5分てそんなに変わらないですよね。
わかりにくい人になっていませんか?
機嫌が良いときは怒らないのに
機嫌が悪いと怒る人
同じ事をしても怒る時と
怒らない時があると
まわりから、わかりにくい人、だと思われます。
自分で、ここまでは
①許せる
②まぁ許せる
③絶対に許せない
というゾーンを決めておきます。
時間の例でいうと
例えば
①5分以内の遅刻は良い
②15分以内の遅刻は良い
③それ以上の遅刻は許せない
などと、決めておきます。
これは人によって全く異なります。
なかには、連絡さえあれば何とも思わない、という人とか。1分でも遅刻したら許さない、という人もいます。
そして、②と③の境界線を、
冷静に相手に提示します。
そして、それも自分が決めているだけのことなので、
私は 15分以内の遅刻をされると 悲しい気持ちになる
など、あくまでも主語は 私 で話します。
あなたは ○ するべきだ とか 普通こうでしょ 社会人として なんて 存在しません。
一日過ごして寝たら24時間たってますけど、それも人間が勝手に区切った話ですよね。
それを時間刻みにして、分刻みにして、約束事を作ったとしても
みんなが同じ感覚かなんてわからないですよね。
あくまでも自分の心地よいところ、許せるゾーンを決めておく。
そして、だんだん、許せるゾーンを広げていけると、大抵のことでは怒らなくなってきます。
多様な価値観を企業が受け入れるということ
ダイバーシティーが大事になってきている世の中で
私たちはなかなか自分と違う価値観の人を受け入れることができません。
私たちが怒る理由は、自分の価値観と違う人、出来事、行動を目の当たりにすることです。
自分と違う価値観の人が周りにいればいるほど、私たちは怒る機会が増えることになります。
職場でダイバーシティーが進むということは、自分と違う価値観で働いている人達がまわりに増えて、その人達と触れる機会が多くなります。
そもそも、違って当たり前だったのですが、今までの日本の教育や企業は同じ事を求める方が多く、多様性を受け入れることに慣れていません。
こうした時、アンガーマネジメントを使えば、どんな価値観の人とも気楽に働けるようになります。
どんな人ともストレスなく働けるようになれば生産性は格段にあがります。
アンガーマネジメントをマスターすれば、働き方改革にもなります。
問題がある怒りとは!?
全ての場合や全ての人に問題があるわけではなく、問題のある怒り、が存在します。
○強度が高い
あんなことでそんなに怒っちゃう?と言われるような人はこれにあてはまる可能性があります。
○持続性がある
ねちねちと怒ったり、寝ても覚めても考えてしまったり、怒りにとらわれたり、え?そんな前のこといってる?と言われるような人は持続性がある可能性があります。
○頻度が高い
1日中、新たなことにイライラしたり、貧乏ゆすりをしていたり、せかせかしてせっかちな人は頻度が高いことが多いです。
○攻撃性がある
他人
自分
モノ のいずれかを傷つけてしまう。
みなさんはどこが強いですか?
怒って良いとき
行動のコントロールについてですが、人間には怒って良いときがあります。
それは、
○コントロールできる時
○自分にとって重要な時
です。
例えば、
毎週のミーティングに15分遅刻してくる同僚がいる。
↓
自分は10分以上の遅刻はどうしても許せないゾーンにある
↓
毎回だしこれから続くのは自分にとって健康ではない
↓
コントロールもできそうだ。
ここで、頭ごなしに叱ったり怒るのでは伝わりません。
冷静に、
自分の気持ちを伝えます。
○くんが来てくれないと、寂しい
○くんが来てくれないと、悲しい
私は、決まっている時間に遅れてくる人は嫌なんです。特に10分以上遅れてくると、がっかりします。
あくまでも、○しなさい!という、YOUが主語のYOUメッセージではなく、私は○だと思う、などの私が主語のIメッセージにしてください。
遅刻が許せない、遅刻しないべき、と思っているのはあくまでも自分で、それを伝えます。
きっと相手には、時間に遅れないべき、というべき論はありません。
そして、一度いってなおる人ってそうそういませんよね。
何度も何度も、トライします。
そして、ここまでなおったらオッケイ!という合格ラインを作ります。
例えば
○今までは毎週遅刻だったのが、月一回になった
とか
○15分遅刻が10分になった
とか。
少しずつ、お互いの妥協点を探っていきます。
お互いにとって長期的に健康なポイントを探ります。
きっと、近しい人との人間関係ではこれが一番難しいですよね。
一緒に頑張りましょう(^_^)